売上を安定させるLTV営業戦略~顧客を「ファン」にする5つの秘訣~

LTVは「Life Time Value」の略称で、日本語では「顧客生涯価値」と訳されます。これは、1人の顧客が、企業との取引開始から終了までの期間に、どれだけの利益をもたらしてくれるのかを算出した、事業の安定と成長を測る上で非常に重要な指標です。

毎月、多額の広告費をかけて新規顧客を獲得しているのに、売上が一向に安定しない、せっかく契約できた顧客がすぐに離脱してしまう、といった悩みを抱えていませんか?

新規顧客の獲得は確かに不可欠ですが、それに過度に依存するモデルは持続可能性に課題を抱えます。これからの時代に求められるのは、既存顧客との関係性を深化させ、LTVを向上させることで、安定した収益基盤を築くことです。

この記事では、顧客の「離脱」防止という観点も踏まえ、営業戦略からLTVを最大化させるための具体的な実践アプローチを解説します。

LTVを向上させる5つの戦略と具体的なアプローチ

1. 顧客理解の徹底

LTV向上の揺るぎない土台は、顧客を深く理解することです。顧客がどのような課題を抱え、何を求めているのかを正確に把握することで、彼らが本当に価値を感じる提案が可能になり、離脱リスクを低減できます。この顧客理解には、数値データと生の声、両方の側面から深く掘り下げることが重要です。

  • 顧客データの分析(定量的アプローチ): CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)に蓄積されたデータを徹底的に分析しましょう。ただ契約内容を確認するだけでなく、利用頻度や特定の機能の活用状況、サポートへの問い合わせ履歴、導入からどれくらいでアップセル・クロスセルが実現しているかといった行動データを数値で把握することで、顧客の潜在的なニーズや、離脱の予兆が見えてきます。例えば、「特定の機能だけを繰り返し利用している顧客」は、その機能に関連する上位プランや別サービスに興味を持つ可能性が高いと推測できます。
  • 定性的なヒアリングの実施(定性的なアプローチ): データだけでは見えない、顧客の「生の声」を聞き出すことが最も重要です。定期的な商談や電話でのコミュニケーションを通じて、以下の点を深くヒアリングしましょう。
    • 現状の満足度: 導入したサービスに対する率直な感想や、どのような点で不満を感じているか。
    • ビジネス上の目標: 今後3ヶ月、6ヶ月で何を達成したいと考えているか。その目標達成のために、御社のサービスがどう貢献できるか。
    • 今後の展望: 業界の動向や、競合他社との関係性など、顧客の事業環境全体を理解することで、将来的な課題を先回りして把握できます。

2. 購入後も続く手厚いサポート体制

顧客との関係は、商品やサービスを売って終わりではありません。むしろ、購入後のサポートこそが、顧客満足度とLTVを大きく左右します。顧客が「期待以上の価値」を感じ続ければ、離脱する理由はなくなります。このセクションでは、具体的なアクションをフェーズごとに解説します。

  • 導入初期: サービス導入直後の数週間から数ヶ月は、顧客との関係を築く上で最も重要な期間です。丁寧な初期設定サポートや、サービスの利用方法をレクチャーすることで、顧客はスムーズにサービスを使いこなせるようになります。この際、「お客様の成功」を定義し、それを達成するためのロードマップを一緒に描くことが鍵です。例えば、導入後1ヶ月で「〇〇という機能が使えるようになる」、3ヶ月で「〇〇という成果を出す」といった具体的な目標を設定しましょう。
  • 定期的なコミュニケーションと価値の提供(活用期): 単なる「ご機嫌伺い」ではない、価値あるコミュニケーションを継続することが大切です。
    • 成功事例の共有: 顧客の業界やビジネスモデルに合わせた他社の成功事例や、新しい活用方法、便利な使い方を積極的に共有しましょう。顧客は自社サービスをより有効に活用できるようになり、「このサービスを使い続けたい」という気持ちが自然と高まります。
  • プロアクティブなサポート(先回りした課題解決): 顧客からの問い合わせを待つだけでなく、営業担当者自らが能動的に動き、潜在的な課題を先回りして解決する姿勢が、顧客に深い安心感を与えます。
    • 離脱予兆の検知: CRMデータを定期的に確認し、「最近サービスの利用頻度が落ちている顧客」「サポートに同じような質問を繰り返している顧客」などをリストアップし、早急に連絡を取りましょう。
    • パーソナライズされた情報の提供: 顧客のビジネス状況や利用履歴に合わせて、最適な情報(新機能の紹介、業界のトレンドレポートなど)を提供することで、「自分たちのことをよく理解してくれている」という実感につながります。

3. フィードバックを活用したプロダクト改善

顧客からのフィードバックは、製品やサービスを改善し、顧客満足度を向上させるための重要な宝物です。営業担当者は、顧客の課題や要望を的確にヒアリングし、社内のプロダクト開発チームやマーケティングチームにフィードバックを共有するパイプ役を担うことが求められます。

顧客の声が実際にサービスに反映されることで、「自分の意見が聞いてもらえている」という実感につながり、顧客は自社サービスへの愛着を深めます。これにより、競合サービスへの乗り換えを防ぎ、長期的な関係構築が可能になります。フィードバックを共有する際は、単に「〇〇という要望があった」と伝えるだけでなく、「なぜその機能が必要なのか」「その課題は顧客のビジネスにどのような影響を与えるのか」といった背景までを詳細に伝えることで、開発チームの理解が深まります。

4. アップセル・クロスセルの戦略的実行

既存顧客に対し、より高価なプランや関連商品を提案する「アップセル」と「クロスセル」は、LTVを最大化する最も効果的な手段です。すでに自社のサービスを評価してくれている顧客への提案は、新規顧客への営業よりも成約率が高く、効率的に売上を伸ばせます。

  • アップセル: 現在利用している商品やサービスよりも、機能や価値が高い上位版を提案することです。 例(人材派遣): 繁忙期に伴い、契約中の派遣スタッフを1名から2名に増員する。
  • クロスセル: 既存の商品やサービスと組み合わせて利用できる別の商品やサービスを提案することです。 例(人材派遣): 派遣スタッフの採用に加え、社員の定着率向上に向けた組織コンサルティングサービスを提案する。

アップセルやクロスセルを成功させる鍵は、単に商品を売り込むことではありません。顧客の「潜在的なニーズ」を正確に捉え、「この提案は自分たちの課題解決に繋がる」と納得してもらうことが重要です。そのためには、上記で述べた徹底的な顧客理解が欠かせません

5. 顧客との深い人間関係の構築

LTV向上には、顧客との「継続的な接点」と「深い関係性」が不可欠です。営業担当者個人の人間力が、顧客のロイヤルティ(愛着心)を大きく左右します。

  • 定期的なミーティング: サービス導入後も定期的にミーティングの場を設け、利用状況や新たな課題をヒアリングしましょう。この情報が次の提案やサービス改善に活かせます。
  • 単なる取引先から「信頼できるパートナー」へ:顧客が「この担当者だから契約を継続したい」と思ってくれるような関係を築くことが、LTV向上の大きな鍵です。担当者として、顧客のビジネス目標だけでなく、個人的な関心事にも耳を傾け、単なる取引先ではなく、信頼できるパートナーとして認識してもらうことが大切です。

まとめ

LTVの向上は、持続的な事業成長の鍵です。新規顧客獲得にばかりリソースを割くのではなく、既存顧客との関係性を強化し、顧客に長期にわたって価値を提供することで、売上を安定させ、さらなる事業拡大につなげることができます。

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