成功するBtoBビジネスの裏側には、顧客との信頼関係と価値共創があります。
カスタマーサクセス(Customer Success)とは、商品やサービスを導入した顧客が、その価値を最大限に引き出し、成功体験を得られるように企業が能動的に支援する活動・戦略を指します。
単なる「顧客対応」や「サポート」とは異なり、顧客の目標達成を起点に企業側が積極的に関与することが特徴です。
カスタマーサクセスの主な目的
- 顧客の解約防止(チャーン対策)
- 顧客満足度の向上
- LTV(顧客生涯価値)の最大化
- アップセル・クロスセルの促進
- 口コミや紹介による新規顧客獲得

カスタマーサクセスが注目される背景
カスタマーサクセスが広がった大きな背景として「所有から利用へ」という顧客行動の変化があります。
他の要素もみていきましょう。
1. サブスクリプションモデルの普及
従来の「売り切り型」から、SaaSなどの「継続課金型(サブスク)」に移行したことで、
顧客の継続利用・解約防止(チャーン率低下)が売上に直結。
解約されないように、顧客の成功体験(Success)を能動的に支援する必要性が高まる。
2. 顧客獲得コスト(CAC)の高騰
新規顧客の獲得が年々難しく高コストになっており、既存顧客の維持やアップセル・クロスセルがより重要視される。
3. 競合製品の増加と比較サイトの普及
製品やサービスの差別化が難しくなり、「売った後の体験」が選定基準に。機能だけでなく、導入支援・活用提案・伴走体制といったカスタマーサクセスの質が、契約更新や紹介にも直結。
4. 口コミやレビュー文化の浸透
顧客がSNSやレビューサイトで影響力を持つ時代に。成功体験を生み出すことで、ロイヤルカスタマーのファン化や紹介獲得にもつながる。
5. データ活用・スコアリング技術の進化
顧客の利用状況や満足度、解約兆候などを可視化・予測する仕組みが整ってきたことで、
「事後対応」ではなく、「予防的アクション」が可能に。カスタマーサクセス部門の活動が明確に成果として可視化されやすくなった。
このように従来の「売り切り型」から、SaaSなどの「継続課金型(サブスク)」に移行したことで、顧客の継続利用・解約防止(チャーン率低下)が売上に直結するようになりました。
こうしたモデルでは、「使い続けてもらうこと」が最大の収益源になる為、解約防止策として顧客の成功体験(Success)を能動的に支援する必要性が高まっています。
つまり、解約(チャーン)を防ぎ、顧客との関係を継続させることが、事業の生命線なのです。だからこそ、カスタマーサクセスという専任部署を設け、既存顧客の“成功”にコミットする体制は、企業にとって合理的な投資になっています。
CSが注目される本質まとめ
- 収益構造の変化:初回売上よりも 継続 LTV が利益を決める時代へ。CSは「チャーン低減+拡張売上」の両輪を担う戦略部門に格上げ。
- 資本市場の評価軸:高い NRR は“耐久成長”を示す証拠となり、直接企業価値に跳ね返る。
- テクノロジーのブースター効果:GenAI・プロダクト分析基盤の普及で、少人数でも大規模顧客を先回り支援できる体制が整った。
- ユーザー主権時代:解約はワンクリック、選択肢は無限。企業は“使い続ける理由”を顧客と共創する必要がある。
「新規獲得の次は 既存顧客の成功体験を何度も複利で積む フェーズ」。つまり、CSが果たす役割は、単なるサポートではなく “リテンション × リカーリング収益” を最大化する成長エンジン になります。
LTV(顧客生涯価値)とは
LTVの最大化の実現にはカスタマーサクセスの取り組みが不可欠なことがわかりましたが、もう少し関係を深掘りしていきたいと思います。
LTV(エルティーブイ)とは、**「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、
ある顧客が企業にもたらす生涯価値(総利益)**を表す指標です。
LTVの定義
1人の顧客が取引開始から終了までの間に企業にもたらす利益の総額
マーケティングやカスタマーサクセス、営業戦略などの指標として活用されます。
LTVの計算式(例)
LTVの計算方法は、いくつかありますが、以下の計算方法が一般的です。
LTV=購入単価(円)×購買頻度(回)×継続期間(年)

カスタマーサクセスとの関係
1. チャーン(解約)を防ぎ、収益を安定化できる
新規獲得にコストがかかる一方で、既存顧客の維持は約5分の1のコストで済むと言われます。カスタマーサクセスにより顧客の課題を先回りして解消することで、解約率を下げ、LTVを向上させられます。
2. アップセル・クロスセルでLTVをさらに伸ばせる
顧客の状況をよく理解しているカスタマーサクセス部門は、「このタイミングでこの商品が必要そうだ」という文脈提案が可能。
→ 売り込みではなく、価値提供型の提案ができるため、受注率が高く、LTVも上昇。
3. 成功体験がリピートや紹介につながる
カスタマーサクセスの本質は「顧客の成功を支援すること」。
顧客が成果を実感できれば、継続利用や追加導入につながるだけでなく、口コミ・紹介・レビューによる新規顧客獲得にも波及します。
4. プロダクトの改善や事業戦略へのフィードバック源になる
顧客からの生の声や要望は、カスタマーサクセスが最も近くで拾えます。
→ LTVの高い顧客のニーズを優先的に製品開発・サービス改善に活かすことで、
全体の満足度とLTVを底上げすることが可能です。
カスタマーサクセスは、単なる「サポート部門」ではなく、**収益を最大化するための“戦略部門”**です。
長期的に安定した売上を確保したい企業にとって、LTV最大化の鍵として導入はもはや必然といえます。
カスタマーサクセスの主な分類
1. タッチモデル別
顧客対応の「密度(=タッチの多さ)」によってハイタッチ(High Touch)
、テックタッチ(Tech Touch)、ロータッチ(Low Touch)分類される。

2. 目的・機能別
業務内容やミッションによって分類される。
- オンボーディング支援型、導入支援型
- アダプション支援型
- エクスパンション(アップセル)型
- チャーン防止型
顧客がサービスに満足すれば自然と解約率は低下し、契約の継続率は向上しますがカスタマーサクセスがLTVの最大化を達成するには、顧客がサービスの価値を体感し、最大限活用してくれるようにすることが必要です。そのためには顧客の状況に合わせてステージを設計し能動的なフォローが必要になります。ステージ設計は企業によって異なりますが、よくあるモデルとして以下のようなものがあります。
1.オンボーディング
オンボーディングはカスタマーサクセスの起点であり、顧客の定着や解約防止に直結する重要なフェーズです。初期にスムーズな導入支援と明確な成功体験を提供することで、サービスへの信頼と活用意欲が高まり、LTVやアップセルの可能性も拡大します。顧客視点でシンプルかつ成果重視の設計が鍵となり、一方的にサービスの使い方を伝えれば良いわけではなく、継続的に関係を築く相手を理解することが不可欠です。
2.導入支援
顧客がサービスをスムーズに立ち上げ、早期に価値を実感するための重要なプロセスです。初期設定や共通認識の構築【どのようなゴールを目指したいのか、成功の定義づけを】通じて不安や疑問を解消し、利活用の土台を整えます。そのための具体的課題の抽出や、解決のための計画策定も含まれます。
この段階での丁寧な伴走が、その後の定着・継続利用を大きく左右することもあります。
3.活用促進
顧客がサービスを継続的に活用し、成果を感じることで「定着」へと進む重要なフェーズです。具体的には以下のようなアクションが含まれます。
- 社内での活用度チェック、活用状況に応じた個別フォロー
- 活用事例や活用提案の調査、定期配信
- 定例ミーティングを実施、進捗や成果レビュー
- アップデート情報のタイムリーな案内
4.チェーン(解約)防止
契約更新顧客が満足にサービスを活用しているようでも、契約更新のタイミングで急に継続を見直し始めることはよくあります。
見直しの理由は主に以下です。
- 導入効果、成果がでているか
- 現場での活用度、活用実績
- 満足度とサポート体制
- 他社との比較
- 今後の可能性
契約更新は「継続の可否」だけでなく、「継続する価値があるか」の判断プロセスです。提供側は顧客のこの視点を理解し、先回りして価値を再提示する姿勢が求められます。
そのため、契約更新時期の1〜3カ月前には顧客とのヒアリングを設定し、活用状況や更新意思の有無を確認します。
5.アップセル/クロスセル
顧客は「本当に必要か」「費用対効果はあるか」「運用に負担はないか」を慎重に判断しています。また、あくまでも顧客の成功の延長線上にアップセル、クロスセルが存在しますので導入効果や業務改善にどうつながるかを明確に示し、押し売り感を与えない配慮が求められます。
営業活動におけるカスタマーサクセスの役割
営業活動におけるカスタマーサクセスの役割は、単なる契約獲得後のサポートに留まらず、顧客の継続的な価値実現を支援することで、企業の収益基盤を強化する点にあります。契約後の活用促進や成果創出を通じて、解約の抑止、アップセル・クロスセル機会の創出に寄与します。また、顧客から得られるフィードバックを営業戦略やサービス改善に還元することにより、営業活動全体の質的向上にも貢献します。カスタマーサクセスは、営業活動と密接に連携しながら、顧客との中長期的な関係構築を担う重要な機能です。
カスタマーサクセスと営業の関係(役割分担)
カスタマーサクセスと営業は、顧客のライフサイクルにおいてそれぞれ異なる役割を担いながら、相互に連携して価値提供を行う関係にあります。営業は主に新規顧客の獲得や契約締結を担い、商談の成立に向けた提案活動を中心に展開します。一方、カスタマーサクセスは契約後のフェーズを担当し、導入支援・活用促進・成果創出を通じて、顧客の継続利用と満足度向上を図ります。加えて、カスタマーサクセスが得た顧客の声や利用実態を営業にフィードバックすることで、より精度の高い提案や再現性のある営業活動が実現されます。このように、両者は明確な役割分担のもとで相互補完し、組織全体としてのLTV最大化に貢献します。
なぜ今、カスタマーサクセスを営業に活用するのか?
従来の営業モデルでは、「契約=ゴール」となり、その後のフォローが不十分なまま放置されるケースが多く、結果として顧客の解約(チャーン)を招く傾向がありました。これに対し、カスタマーサクセスを連携させた新しい営業モデルでは、「契約=スタート」と捉え、導入後の成功支援を通じて顧客の定着と成果創出を支援します。その結果、継続率の向上、LTV(顧客生涯価値)の最大化、さらには顧客からの紹介や推奨といったポジティブな循環が生まれ、持続的な事業成長につながります。
カスタマーサクセスを活用した営業手法の全体像
カスタマーサクセスを活用した営業手法は、単なる導入支援にとどまらず、継続的な商談創出と営業成果の最大化を目指す戦略的なアプローチです。その全体像は以下のような循環構造で成り立っています。
まず、[1] 活用支援を通じて顧客にサービスの価値を実感してもらい、次に [2] 顧客理解を深めることで、業務課題やニーズを明確に把握します。そこから [3] 提案機会の抽出を行い、[4] 営業連携(アップセル・クロスセル・紹介)に発展させていきます。その結果、[5] 顧客の成功体験が生まれ、満足度と継続率が向上します。さらにその成功事例を [6] 成功事例化・営業資料化することで、再び活用支援フェーズへとつなげ、組織全体で営業活動を加速させるループが構築されます。
カスタマーサクセスは、従来の「顧客対応」や「サポート業務」の枠を超え、営業活動においても極めて重要な役割を担う存在となりつつあります。顧客の活用状況や課題を的確に把
握し、成功体験に基づいた提案を行うことで、アップセル・クロスセルの精度と成果は飛躍的に向上します。
また、継続的なコミュニケーションを通じて信頼関係を構築することで、解約リスクの低減にとどまらず、紹介や事例活用といった新たな営業機会の創出にもつながります。こうした営業手法の高度化は、LTVの最大化を目指す企業にとって不可欠な取り組みであるといえるでしょう。
これからの営業組織に求められるのは、カスタマーサクセスと連携しながら、顧客にとっての“価値”を起点とした提案を行う体制の構築です。単なる売上拡大ではなく、顧客との長期的な関係性を資産と捉えた戦略が、企業の持続的成長を支える鍵となります。
自社でアウトバウンド営業を導入したいけどリソースが足りない。そのような課題をアウトバウンドセールスの専門家が解決します。

シンキカイタクの仕組み
①貴社のための専属チームを組成
営業戦略コンサルタント、作業の実行部隊、データアナリストの貴社専属チームを組成します。
②最適なターゲットの選定、アピール文言の作成
専任コンサルタントがオンラインでの詳細ヒアリングをもとにターゲットの選定、アピール文言を作成します。
③密なコミュニケーション
貴社の営業部隊として密なコミュニケーションを取りながら営業活動を行います。
④PDCAサイクルの継続
中間・月次MTGにて振り返りを専任コンサルタントと行います。コンサルタントが次月への改善策を提案いたします。
サービス開始までの流れ
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