外国人材営業はなぜ地域で差が出るのか。”減衰ゾーン”とは

「営業しても反応が薄い」「隣の県は動いているのに、うちの地域は全く進まない」。登録支援機関として地方を回っていると、この種の悩みは本当によく聞かれます。

多くの担当者は「自分の営業力が足りないのではないか」「話し方や資料をもっと工夫すべきではないか」と考えがちですが、実際には“本人の努力不足”だけでは説明できないケースがほとんどです。


外国人材の受け入れは、地域の産業構造、人口動態、行政の姿勢、企業文化、外国人との接触経験など、さまざまな要素の影響を強く受けます。そのため、同じ提案でも「ある地域ではすぐに決まるのに、別の地域では全く動かない」という現象が起きます。

営業成果は担当者のスキルだけでなく、地域ごとの“構造”がどちらの方向を向いているかによって大きく左右されます。
本稿では、支援機関の営業が伸びない地域に共通する要因を整理しながら、「その地域では何を見て、どうアプローチを変えるべきか」を実務レベルで解説します。自分の営業が悪いからではなく「そもそも土台が違うから戦い方を変える必要がある」と捉え直すきっかけになれば幸いです。

地域の産業構造が“需要の温度”を決めている

まず前提として押さえておきたいのは、「どんな企業が多い地域なのか」という産業構造が、外国人材ニーズの“温度”をほぼ決めてしまうということです。

営業力が高くても、そもそも外国人材を必要としていない業種が多い地域では、大きな成果は期待できません。一方で、構造的な人手不足に陥っている産業が集積している地域では、提案が驚くほどスムーズに進むこともあります。

高需要の産業がある地域は、基本的に“温度が高い”

例えば、次のような産業が多い地域は、外国人材の需要が高くなりがちです。

  • 製造業(自動車部品、食品、金属加工、半導体関連など)
  • 介護・福祉施設
  • 外食・宿泊
  • 農業・酪農・水産加工

これらの産業は、慢性的な人手不足と高い離職率を抱えています。国内採用だけでは人員が埋まらず、「外国人材を受け入れるかどうか」ではなく「どのルートで受け入れるか」を検討しているケースも多くあります。

こうした地域では、支援機関の提案に耳を傾ける企業が一定数存在し、営業の成果も比較的出やすい土壌があります。

中需要の産業では、“タイミングと景気”で感触が変わる

一方で、次のような産業が中心の地域では、需要が年によって、あるいは季節によって大きく変動します。

  • 建設
  • 物流・倉庫
  • 小売
  • ビルメンテナンス・清掃

繁忙期には「人が足りない」となるものの、閑散期には「そこまで必要ではない」という状態になりやすく、採用や受け入れ判断が揺れがちです。

このような地域では、同じ企業でも年度によって反応が大きく変わることがあります。営業側から見ると、「去年は話を聞いてくれたのに、今年は全然乗ってこない」という現象として表れます。

低需要の地域は、“そもそも市場が薄い”

さらに、次のような産業構造の地域では、外国人材を必要とする場面そのものが限られます。

  • 事務系サービス業が中心
  • 教育・士業・専門職の割合が高い
  • 工場がほとんどない郊外ベッドタウン
  • ホワイトカラー中心の都市部オフィス街

このような地域で営業をしても、「現時点では採用の必要性がない」「外国人材という選択肢を検討する段階ではない」という反応になりがちです。

営業が通らないのは、提案が悪いからではなく、“そもそも市場の厚みがない”という構造的な事情が大きく関わっています。

まずは「地域の現状を数字で把握する」

営業戦略を組み直すうえでは、「感覚」ではなく「数字」で地域を見ることが不可欠です。例えば、次のような情報を一度整理してみると、自地域の構造が見えてきます。

  • 産業別就業者数(製造、介護、サービスなどの割合)
  • 市町村別の有効求人倍率
  • 業種別の人手不足感(業界団体や調査機関のデータ)
  • 工業団地・物流拠点・介護施設などの立地分布

こうしたデータをもとに、「どの市町村・どの産業に力を入れるべきか」「そもそもこのエリアには市場があるのか」を整理することで、営業ルートや優先順位の組み方が変わってきます。

営業がうまくいかない地域の多くは、「そもそも高需要の産業が少ない」か「中・低需要産業が中心」であることが少なくありません。まずは産業構造を可視化し、戦うべきエリアと、戦っても成果が出にくいエリアを切り分けることが重要です。

地方には“外国人材アレルギー”が残っている

次に見えてくるのが、地域によって異なる“心理的なハードル”です。都市部では外国人材と接する機会が増えているため、「コンビニや飲食店でよく見る存在」として受け入れが進んでいる一方、地方では接触経験が少なく、イメージだけが先行しているケースが少なくありません。

地方企業が抱えがちな不安

地方の中小企業でよく聞かれる本音は次のようなものです。

  • 「日本語が通じないと現場が困るのではないか」
  • 「トラブル対応が増えたら手が回らない」
  • 「文化や価値観の違いで現場が混乱しそう」
  • 「外国人材を受け入れる準備ができていない」
  • 「一度失敗したら社内の空気が悪くなりそう」

ここで重要なのは、企業が恐れているのは“外国人材そのもの”ではなく、「自社の体制で受け止めきれないのではないか」という感覚だという点です。

つまり、“人”への拒否というより、“負担”への拒否に近い心理が働いています。

メリット推しより“不安を代弁する営業”が効く

都市部では「人手不足の解消」「多様性による組織活性化」といったメリット訴求がそのまま響くケースもありますが、地方ではメリットの前に「本当にやっていけるのか」という不安の壁があります。

この壁を無視してメリットだけを説明しても、企業は心の中で「きれいごとに聞こえる」と感じてしまいます。そこで有効なのが、次の順番で話すアプローチです。

  1. 企業が抱えそうな不安をこちらから言語化してあげる
  2. なぜその不安が生まれるのか、構造を冷静に説明する
  3. その負担を支援機関側でどう軽減できるかを示す
  4. 同地域・同規模の企業の成功事例を紹介する

「日本語や生活面の不安が大きいですよね」「実はそこをカバーするための仕組みがあります」といった形で、まず企業の不安を“代弁する側”に回るだけで、警戒心は大きく和らぎます。

地方ほど「外国人材アレルギー」が残っている地域があります。

メリットの話を急ぐのではなく、「不安の代弁」から入り、「その不安は仕組みで軽くできる」という流れをつくることで、企業の反応は明らかに変わります。

人口動態と求人倍率が営業の成否を左右する

営業が伸びない地域をよく見てみると、「地元採用でまだ何とか回っている」という共通点が見えてくることがあります。

企業が外国人材に本気で踏み切らないのは、外国人に抵抗があるからというより、「まだ地元人材だけでやれるかもしれない」と感じているからです。

求人倍率が1.0前後の地域は、動きが鈍くなる

例えば、次のような地域は、外国人材へのニーズが表面化しづらくなります。

  • 若年層が一定数残っており、新卒採用や地元中途採用で何とか回っている
  • Uターン・Iターンが一定数見込める
  • 事業規模が小さく、採用人数も多くないため「何とかなる」と感じている

こうした地域では、有効求人倍率が0.8〜1.2の範囲で安定していることが多く、「人は足りているわけではないが、致命的に足りないわけでもない」という状態が続きます。

この段階では、どうしても外国人材の優先度は下がりやすく、営業をかけても「今すぐではない」という反応になりがちです。

企業が動き出すのは、“未来の不足”が見えたとき

企業の意思決定が変わるタイミングは、「このままでは、数年後に本当に人がいなくなる」という未来が具体的に見えた瞬間です。支援機関として提示できるのは、次のような情報です。

  • 市町村別・年代別の人口予測(10年後、20年後に若年層がどれだけ減るか)
  • 労働力人口の推移(何人減るのか、どの世代が減るのか)
  • 業界別の人手不足指数(今後どの業種で特に不足が深刻化しそうか)
  • 地域の求人倍率の過去推移と将来予測(右肩上がりになっているかどうか)

単に「人が減っています」と伝えるのではなく、「この地域では10年後に20代人口が3割減ります」「この業界では今後、正社員の確保がさらに難しくなる見込みです」といった形で、数字とストーリーをセットで示すことで、「地元採用だけでは乗り切れない時期」が具体的にイメージされます。

“今から準備する意味”を示す

ここで重要なのは、「人が足りなくなってから動くのでは遅い」という視点です。

  • 今から外国人材の受け入れ体制を整えることで、将来の採用リスクを分散できる
  • 早い段階から少人数で始めれば、現場の慣れや教育ノウハウも蓄積できる
  • 将来的な拠点拡大や事業展開の際に、外国人材の活用が自然に選択肢になる

こうした「先行投資としての受け入れ」というストーリーを描ける支援機関は、人口動態を味方にしながら企業の意識を変えていくことができます。

求人倍率が1.0前後の地域では、「今はまだ何とかなるから動かない」という判断が普通です。そこに対しては、「未来の不足」をデータで可視化し、「今から準備する意味」を丁寧に示すアプローチが有効です。

行政施策が弱い地域は、企業の学習スピードが遅い

同じ「地方」といっても、自治体の姿勢によって企業の理解度には大きな差が出ます。多文化共生や外国人材受け入れに積極的な自治体では、企業側にも情報が届きやすく、支援機関の説明も通りやすくなります。

一方で、行政施策が弱い地域では、企業は「よく分からないまま自己流で判断している」という状態に陥りがちです。

都市部と地方で生じる“情報格差”

都市部や一部の先進的な自治体では、次のような取り組みが整いつつあります。

  • 多文化共生センターや外国人相談窓口の設置
  • 外国人住民向け、日本語・生活相談窓口の整備
  • 企業向けのセミナーや勉強会の開催
  • 外国人材活用事例の紹介パンフレット・動画

こうした動きがある地域では、企業側の“最低限の理解”が整っているため、支援機関の提案も入りやすくなります。
一方で、行政の情報発信がほとんどない地域では、企業はインターネットや口コミ、支援機関からの説明だけが頼りです。その結果、制度理解や成功事例が共有されず、「よく分からないものには手を出しづらい」という状態が続きます。

支援機関が“地域の情報ハブ”になるチャンス

行政施策が弱い地域ほど、支援機関が次のような役割を担うことで、企業からの信頼を集めやすくなります。

  • 自主開催の外国人材・特定技能・制度解説セミナー
  • 行政や関係機関と企業をつなぐコーディネーター役
  • 制度情報や在留資格情報の要点を、企業向けに噛み砕いて配信
  • 地域内の導入企業の事例共有会の企画・運営

企業から見ると、「制度や事例を分かりやすくまとめて教えてくれる存在」は非常に貴重です。行政の不足分をカバーすることで、地域内での存在感と信頼性が一気に高まります。

行政が弱い地域は、裏を返せば“支援機関が主役になれる地域”でもあります。情報のハブになることで、単なる書類代行ではなく「地域の外国人材戦略を支えるパートナー」としてのポジションを築くことができます。

地域ごとに営業モデルを変えなければ成果は出ない

ここまで見てきた通り、地域ごとに産業構造も人口動態も行政環境も違います。当然、企業が重視するポイントも違えば、響く営業トークも変わります。同じ資料・同じトークで全国を回れば、「刺さる地域」と「全く刺さらない地域」が生まれるのは自然なことです。

地域によって“刺さるテーマ”はここまで違う

例えば、次のような傾向があります。

  • 大都市圏:採用スピードとコスト、他社との競争に勝つための優位性
  • 中規模都市:定着率の安定とレポート・見える化の質
  • 農村部・工業団地:人数確保と長期安定供給、生活支援の手厚さ
  • 観光地:季節変動に合わせた弾力的な受け入れとシフト設計
  • 介護密集地域:生活・メンタル・家族事情も含めた総合的な定着支援

同じ「特定技能の説明」でも、都市部では「採用コストとスピード」がフックになり、地方の工業団地では「人数をどれだけ安定的に確保できるか」「生活面まで見てくれるか」が重要視されます。

営業ストーリーを“地域変数”で組み替える

営業の成果を高めるためには、次のような“地域変数”を意識しながらトークや資料を組み替えることが有効です。

  • その地域で多い産業・企業規模
  • 若年人口と人口減少のスピード
  • 有効求人倍率と人手不足感
  • 外国人住民の有無やこれまでの受け入れ経験
  • 行政の支援状況や施策の有無
  • 企業文化(保守的か、チャレンジに前向きか)

例えば、同じ「生活支援メニュー」の説明でも、農村部では「車が運転できない人の移動手段をどう確保するか」「近くに病院やスーパーがない環境でどう支えるか」といった話を具体的にするほうが響きます。

一方で都市部では、「住宅の確保」「家賃相場」「通勤時間の長さ」などが関心の中心になります。

全国一律の営業モデルでは、どうしても成果にムラが出ます。地域変数を前提に、「この地域では何を一番気にしているか」「何をフックに話を組み立てるべきか」を考えることで、同じ資料でも成約率は大きく変わります。

営業が伸びない地域には理由がある。しかし、戦略を変えれば成果は出る

支援機関の営業が伸びない地域には、必ず理由があります。

  • 産業構造的に、そもそも高需要の産業が少ない
  • 外国人材への心理的なハードルが高い
  • 求人市場がまだ逼迫しておらず、危機感が弱い
  • 行政の情報発信が弱く、企業の理解が進んでいない
  • 地域ごとの差を無視した“一律の営業トーク”になっている

これは営業担当者の能力不足や努力不足ではなく、地域の構造がそうさせています。

だからこそ大切なのは、「うまくいかないのは自分のせいだ」と思い込むのではなく、「この地域はどういう構造なのか」「この土台の上では、どう戦い方を変えるべきか」と視点を切り替えることです。

産業構造、人口動態、行政施策、企業文化といった“地図”を読み解き、それに合わせて営業ストーリーや優先エリアを組み替えていくことで、どの地域でも一定の成果を出すことは十分に可能です。


営業は根性論ではありません。市場構造を理解し、その地域に合ったアプローチを選べるかどうかで、結果は大きく変わります。地域を読み解く視点を持った支援機関ほど、企業から頼られ、長く選ばれる存在になっていきます。


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