大学は“教授に気に入られれば導入される”というイメージを持たれがちですが、実際には教授だけでは進まない場面が多く、事務局の仕組みや予算サイクルを理解することが欠かせません。
「教授に紹介されたのに、話が前に進まない」
「大学は関心はあるのに、なぜか導入につながらない」
そんな悩みをお持ちではありませんか?
今回は学校の中でも、大学へのICT/備品/AI研修・教育サービス等を効率的にアプローチしたい企業様へノウハウを一部ご紹介いたします。
教授ではなく事務局が実権を握る
多くの企業がやってしまいがちな誤解のひとつが、「教授に気に入られたから、すぐ導入につながるだろう」 という考え方です。
しかし実際には、大学の導入は教授の裁量だけでは動きません。
- 教授は「紹介」や「推薦」はできるが、決裁権は持っていない場合もある
- 導入には必ず事務局側の仕様書対応・見積比較・稟議が必要
- 特にICT、備品、設備は “事務主導”
つまり教授ルートは“入口としては有効だが、決裁ラインではない場合が多いのが大学の特徴。
ここで重要なのが、教授と事務局の両方にとって納得感のある動線をつくることです。
教授の推薦があったとしても、事務局は「運用」「費用対効果」「学内ルール」を基準に判断します。
そのため、教授との関係だけを頼りにするのではなく、早い段階で事務局側の担当者と接点を作り、「仕様書に落とせる形」「大学のルールに沿った形」に整えていく必要があります。
こうした背景があるため、大学営業ではテレアポが非常に有効です。
教授とは別ルートで、事務局筋へアプローチできるため、導入プロセスの“本流”につながりやすくなります。
「どこに売るか」の切り口がカギ
大学には、企業側から見える以上に多くの部署が存在し、それぞれ役割も課題もまったく異なります。そのため、「どの部署に提案するか」だけで結果が大きく変わるのが大学営業の特徴です。
大学には、以下のようなターゲット部署が無数にあります。
- 教務課(教材・学習支援ツール)
- 情報センター(ICT・DX関連)
- 総務課/施設課(備品・什器・設備)
- キャリア支援課(就職・研修サービス)
- 研究支援課/URA(研究活動・助成金対応)
部署ごとにKPIや判断軸が違うため、「全員に同じ資料」ではまず刺さらないのが実情。
例えば、
- ICT系 → セキュリティ・運用負荷・学内ネットワークとの整合性
- 教務 → 学習効果・教職員の作業負担
- 施設課 → 保守性・耐久性・予算枠
- キャリア支援 → 学生の成果・企業連携の強さ
同じサービスでも、部署が変わるだけで“評価ポイント”がまるごと変わります。
だからこそ、大学営業では 「誰に向けた資料か」「何の課題を解決するのか」を事前に決める ことが非常に重要。
さらに、大学は部署間で話が回りにくいので
- 教務課と情報センター
- 施設課と総務課
など、複数部署へ並列でアプローチする“複線営業”が効果的です。
提案の切り口を変えれば、同じサービスでも
「これはうちの部署の仕事だね」
と受け入れられやすくなるため、導入までの確度が大きく上がります。
予算のサイクル
大学への提案において、予算が動くタイミングを把握することは極めて重要です。大学の年度運営は明確なサイクルに沿って進むため、時期を誤るとどれだけ関心を得ても導入に結びつきにくくなります。
【10〜12月】次年度予算の検討期間(最重要)
この時期は翌年度の予算編成が本格化するタイミングです。
新規提案がもっとも受け入れられやすく、以下の点が特徴です。
- 次年度予算に「検討項目」として組み込まれやすい
- 来年度の導入スケジュールを設計しやすい
- 中期的視点の提案も前向きに議論されやすい
大学営業では、この10〜12月のアプローチが成否を大きく左右します。
【1〜3月】年度末処理期間(新規提案が通りにくい)
稟議締め切りや決算処理が集中するため、多くの大学ですぐの新規導入は比較的難しい時期です。
この期間は、翌年度に向けた情報提供や企画準備に重点を置くことが適しています。
【4〜7月】新年度予算の執行開始期(小規模導入の機会)
新しい予算が割り当てられ、比較的小規模な試験導入や、一部利用から始めるケースが生まれやすい時期です。
- まずは限定導入
- 特定学部や特定授業のみでの運用
- 小額での試験利用
など、「段階的導入」を提案すると受け入れられやすくなります。
総括すると、大学営業では “秋冬に提案を仕込み、春から初夏にかけて導入へつなげる” という流れが王道です。
大学営業では「誠実で若手らしい印象」が好まれる
大学へのアプローチでは、営業担当者の雰囲気やコミュニケーションスタイルが想像以上に重要な要素になります。多くの大学職員は、民間企業ほど営業対応に慣れていないため、「誠実さ」「丁寧さ」「落ち着いた対応」が高く評価される傾向があります。
学校現場で求められるコミュニケーションの特徴
大学の事務局・教務担当者には、以下のような共通点があります。
- 過度な営業トークや押しの強さを好まない
- 専門用語の多用よりも “わかりやすさ” を重視
- 丁寧で誠実な説明を信頼につなげやすい
そのため、技術的な知識以上に、相手の理解スピードに合わせた説明や、慎重な対応が評価されやすい環境にあるのです。
若手らしさが評価される理由
大学は学生や若い世代と関わる機会が多いため、若手営業の持つ「真面目さ」「一生懸命さ」が好意的に受け止められやすい側面があります。
また、過度に“営業色”が強くない方が相談しやすいという声も多く聞かれます。
テレアポ・初回接点で意識すべきポイント
- 落ち着いたトーン、ゆっくりめの話し方
- 専門用語を避けた説明
- 「まずは情報提供の意図」を明確に伝える
- 対応者の時間を尊重した話の進め方
こうした基本を押さえることで、大学側に安心感を与え、次のステップにつながる確率が向上します。
どこもブランディングと学生確保に注力中
現在、多くの大学が「学生獲得競争の激化」という課題に直面しており、教育の質向上だけでなく、大学としての魅力発信や差別化が強く求められています。
学生確保のための取り組みが加速
18歳未満の人口減少に伴い、各校は以下の領域に投資を進めています。
- 学生募集プロモーションの強化
- オープンキャンパスや広報活動の改善
- 教育DX、AI活用による学習環境向上
こうした文脈に合致する提案は、大学側に受け入れられやすくなっています。
ブランディング視点を営業に組み込む重要性
単なる機能紹介ではなく、「学生満足度向上」「大学の価値向上」「他校との差別化」といったキーワードを踏まえて提案すると、大学内の複数部署を巻き込みやすくなります。
提案時のポイント
- 導入によって学生にどのようなメリットがあるか
- 大学としてどのような価値向上が期待できるか
- 他校事例を踏まえた比較
こうした観点で説明すると、事務局・教授・関係部署が共通理解を持ちやすく、導入に向けた合意形成を進めやすくなります。
大学営業を成功させるために必要な視点
大学への営業は、民間企業とは異なる仕組みや文化の中で進むため、「誰が決めるのか」「どこに提案するのか」「いつ動くべきか」を理解しながら進めることが欠かせません。
教授との関係構築は有効な入り口になりますが、最終的な決裁を握るのは事務局であり、仕様書対応、稟議、予算化など、大学特有の手続きを前提としたアプローチが必要です。
また、教務課・情報センター・総務課・キャリア支援課など、部署によって課題も評価基準も大きく異なるため、切り口を変えた複線的なアプローチが成果につながります。
予算のサイクルを踏まえた提案時期の見極めも重要です。
特に10〜12月は次年度予算に入り込めるかどうかの分岐点であり、ここで適切な情報と提案を提供できるかどうかで翌年度の案件化率が大きく変わります。
さらに、大学は学生満足度向上やブランディング改革に取り組んでいるため、「学生への還元」「大学の価値向上」という視点を提案に盛り込むことで、複数部署に横断的に響く提案がしやすくなります。
大学営業は“設計型”のアプローチが求められる分、適切な構造理解と丁寧なプロセスを踏むことで成果が大きく変わる領域です。
教育機関との関係をより強固にし、長期的なパートナーシップを築くためにも、ぜひ今回のポイントを参考に、営業戦略の見直しにお役立てください。
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